SETTAN 器のお話し①
神戸市北区 フレンチオーベルジュ SETTAN AUBERGE À NORD KOBE
今回は SETTAN で料理を彩る器についてお話しさせていただきます。
SETTANから40分ほどの距離に立杭焼の産地があります。一般的には丹波焼とも呼ばれ六古窯の一つに数えられる起源は平安時代にさかのぼる歴史のある焼き物産地です。立杭焼の作風としては土の個性を生かした焼き締めの器が基本的には多く産出されており、落ち着いた風合いで酒器や壺など古来から愛されてきた焼き物の里です。
その中でも伝統も保ちつつそれぞれの個性を磨かれている窯元がこの山里に点在しています。SETTAN でもいくつか用いている立杭焼の器の中で今回は 『丹誠窯』 大西誠一氏 の器のご紹介をさせていただきます。
SETTAN では肉料理の皿として使われることの多い『白丹波』 ですが、立杭焼の中でも珍しい手法で白い泥から作る釉薬をまだ乾ききる前にかけて焼くお皿です。ほんのりと柔らかな橙色を帯びた白・灰・薄黒を水に溶いたようななんとも言えない焼肌が特徴の白丹波ですが、焼成時の温度によって焼き上がりが変わり、かつ表面に浮かんだ黒いつやのある斑点はいわゆる『灰被り』と言って窯の中でくべられた松の木の灰が皿に付着した際に溶けて釉薬のように皿にコーティングされた自然釉の一つです。焼き上がりのコントロールの難しい白丹波ですが、月の表面のようにも見え料理をふんわりと包み込み、調和を取りながら引き立たせてくれます。
コーヒーカップも白丹波を用いています。こちらも同様に焼成温度によって焼き上がりには差異が出るのが大きな特徴です。このカップのふんわりと膨らんだフォルムと滑らかかつ和三盆のようなサラサラとした肌さわりに一目ぼれをして作陶いただきました。持った時の柔らかさを感じながらもっちりとした触り心地がコーヒーを飲む際の口当たりをより優しくしてくれる理想のカップです。
こちらの『丹誠窯』は立杭の里でも南側に位置する窯元です。非常に気さくでおおらかな大西誠一氏の人柄が作風に反映された伝統の中にも少しエッジの立った器が多く展示されています。是非こちらもお立ち寄りください。
SETTAN ではまだまだ素敵な器が料理を彩ってくれています。それはまた次の話しで…
丹誠窯
〒669-2141
兵庫県丹波篠山市今田町下立杭40
TEL:079-597-3255