ROKKO BEER
神戸市北区 フレンチオーベルジュ SETTAN AUBERGE À NORD KOBE
先日SETTANから車で10分のところにある六甲ビール醸造所に行ってきました。
六甲ビールさんは創業26年。開業以降現在に至るまで『ビール一本勝負』のビール専業メーカーさんで、地元特産物を使用し全てオリジナルレシピで商品をご提供されています。
2021年にはイギリスで開催された世界で最も歴史的な国際的コンペティション
「International Brewing Awards」にて2種類のビールがGold とSilverをW受賞!!
六甲から世界へ羽ばたかれた『ROKKO BEER』。そのROKKO BEERを造っている六甲ビール醸造所を今回見学させていただきました。
ビール造りの面白さは『多様性があるところ』だと話すブルワー(ビール醸造師)の景山さんにビールの造り方を説明して頂きました。スタイル(IPA、ホワイトエール、セゾン、黒ビールなど)によって様々で、複数のモルトを組み合わせることにより色あいや味の変化を楽しめるとのこと。原料としてお米を使用したビールも造られています。
下記の写真はビールを造る上で必要不可欠なモルト(麦芽)です。
まずは粉砕。
麦芽を砕く作業から始まります。
砕いた麦芽を水と一緒に入れてグルグル撹拌して麦芽に含まれているでんぷんを糖分に変えます。(糖化)
次は煮沸。
麦汁と呼ばれる糖化させた液体を煮沸槽に移し、蒸気の力を借りて煮沸させます。煮沸する理由は麦芽が持っているビールに好ましくない香りを揮発させてあげるためです。ホップ自体が持つ成分を苦味成分に変えて行くという作用、そして殺菌作用もあります。ビールによって違いますが約1時間~1時間半くらい煮沸します。
次は循環。煮沸時に添加したホップのカスが残ってしまうので、そのカスを発酵タンクに移させないためにグルグル循環させることにより中央にホップのカスを溜めていきます。
次は発酵。
循環してホップのカスを取り除いた麦汁を冷却しながら発酵タンクに移し、酵母を投入します。2日目くらいになるとどんどん液体が発酵し、アルコールと二酸化炭素が生成されていきます。ビール酵母が活動する温度は20℃~30℃くらいで、それ以上高すぎると酵母が死活してしまうとのこと。
六甲ビールさんが主に造っているのはエールビール。スタイルによって発酵期間も違いますが、10日~14日くらい発酵させます。すっきり飲みやすいラガータイプに比べると、華やかな香りや多様性が特徴的なスタイルです。
発酵管理がブルワーにとって一番大変とのこと。温度計と液体を見ながら、きちんと発酵しているか毎日確認します。特に新作などを造る時は発酵期間が終わるまでブルブル震えながら、上手く発酵しているか確認しているとのこと。発酵タンクの中で酵母は活動するとどんどん上に上がり、液体の中を浮遊します。実際商品にする時はよりクリアな落ち着いた液体にする為にタンクの温度を下げて冷却をかけます。冷却をかけると今まで活発に動いていた酵母が休眠し、タンクの下の方に落ちていくので上澄みの液体がよりクリアになるとのこと。1タンク2400ℓの液体ができますが、ホップのカスや死活した酵母が溜まっているので下ずみ100ℓは商品にはできないそうです。
次は貯酒。
発酵が終了しても、ビールは荒々しい味わいなので雑味を落とす為に貯酒タンクで2週間ほど熟成期間として寝かせます。貯酒期間をもうけることで角がたった味わいが丸く丸くなっていき、より複雑な味わいになるのでこの期間がとても大切とのこと。ホップと酵母の相乗効果が生まれるのは(良い香りが生まれるのは)発酵期間ではなく、実は貯酒期間。ビールを仕込んだ初日からでき上がるまで毎日試飲をするそうですが、はじめは甘い麦汁だったのがだんだんキレのあるすっきりした味わいになり、最初と最後では全く違うのだとか。
今回特別にホップの香りをかがせていただきました。一言でいうと…
独特の香りでした(笑)
ホップを添加するタイミングは大きく2つあります。
苦味付けしたい場合は煮沸の段階で入れ、缶ビールの開けた瞬間の華やかな香りをつけたい場合は発酵の後期に入れます。ホップは苦味や香りづけなど色々な使い方ができ、100種類を超えるとのこと。
華やかな香り、レモンやグレープフルーツなど柑橘系の香り、草の香りなど様々で、原料を変えて色々なビールを造るのが楽しさの1つです!と景山さん。
最後に充填。
ホースを使って、缶、瓶、樽に充填します。
一番の大敵は酸素。酸化してしまうと香りが変わってしまうので缶や瓶の中の酸素を徹底的に排除します。いかに酸素を入らなくするか試行錯誤し、国内でもトップレベルの技術を独自に生み出したとのこと。
こうして仕込んでから出来上がりまで1カ月ほどの時を経て、ビールが完成です。
最後にROKKO BEER代表の中島 学氏にお話しを伺いました。
中島さんは2代目。入社当初はよく先代のお父様と喧嘩をされたそう。かつてシステム開発が仕事だった中島さんにはお父様がされていたDIYが理解できず何故外注しないのか疑問に思っていたとのこと。しかし業務に携わっていくうちにDIYの大切さが分かり、今では何から何までDIY。これがコスト削減に大きく繋がっているのだとか。自社の販売管理システム、在庫管理、製造プロセスの管理などシステム化しつつ、DIYで汗を流す。バランスの良さに感心するとともに、技術開発やSDGsへの積極的な取り組みなど見習うべきところが沢山ありました。
ビール造りの難しさと面白さについて伺うと、『タンクのビールの味のまま缶や瓶に移すこと、そして半年ほど味を保たなくてはいけないことが難しさでもあるが、他社との差別化にもなるので面白さでもある。状態が良ければ、子供たち(商品)自身が世界中に営業してくれるのも楽しいです』と仰った中島さんの目は希望に満ち溢れていました。
今後ますます注目の『ROKKO BEER』
SETTANにお越しの際は是非お立ち寄りになられてはいかがでしょうか。
https://www.rokko-beer.com/